レポート

これまでに行われたイベント・活動からのレポートを掲載します。

第一回「東の食のこれからを考える会」 ~「東の食の会」キックオフフォーラム~ レポート

2011年7月14日

2011年6月24日(金)、『第一回「東の食のこれからを考える会」~「東の食の会」キックオフフォーラム~』を開催し、およそ220社、280名(関係者含む)の食品関連企業およびメディアにご参加頂きました。
3時間半に渡ったフォーラムの中では、行政、政治、著名人やビジネス界をけん引するリーダー、そして、ご自身も被災者でありながら、被災地で復興に向けて地域を盛り上げながらがんばっている生産者の方々の貴重なお話や報告を通して、ご参加いただいた方々と共に、復興に向けた具体的なアクションを考える会となりました。
ここでは、当日のキックオフフォーラムの様子を抜粋して報告致します。

~食品産業の再生は被災地の食品を消費することではじめて達成される~

第一部『被害状況の報告及び政府による救済案』では、農林水産省 生産局長の今井敏氏より、被災地の被害状況の客観的把握が関係者の共通認識醸成に重要であるという指摘や、被災地の現状及び政府の対応の報告がなされました。

この中で、東日本大震災の特徴は以下の四点にあるとの報告がなされました。

  1. 農林水産関係被害額が、およそ二兆円にのぼる甚大な被害であるという点。
  2. 地震・津波・原発・風評被害などの複合的災害であるという点
  3. 水産主要県の多い東岸に被害が集中しているという点。
  4. 被災地が一次産業(水産業や農業)を主要産業としている地域であるという点。

上記の被害の特色や状況をご説明頂いた上で、政府が進めている取り組みについてお話頂きました。

「東日本大震災では、一次産業を主要産業としている地域にて大きな被害が生じました。この被害は日本の食を大きく脅かすものであります。けれども食品産業の再生は、被災地の食品を消費することによってはじめて達成される。「食べて応援しよう!」をキャッチフレーズに農林水産省は被災地の食品を食べることで支援する取り組みを進めております。「東の食の会」の動きが国民運動として、社会全体の大きなうねりとなるように祈念して冒頭私からの報告とさせて頂きます」

~一から農業をつくり、日本の農水産業のさきがけになるチャンス~

第二部 「政治家によるパネルディスカッション~党を超えた復興へのビジョンと取組み~」では東の食の会発起人でもある近藤 洋介 氏(民主党 衆議院議員)、平 将明 氏(自民党 衆議院議員)、松田 公太 氏(みんなの党 参議院議員)の三議員と、シンクタンク・ソフィアバンク副代表の藤沢久美氏をモデレーターとしてお招きし、国会議員としての現在の震災に対する政治からの取り組み及び国会議員としての今後の取り組みが報告されました。

平 将明氏)「国会議員ができる事は、①予算:できれだけ早く予算をつけること、②法律:法律を変える、もしくは新しい法律をつくることです。そのためにも、今大事な事は国会を開いて、早く予算をつける事。『付加価値=(品質+インフォメーション)/価格』。この式の中で、インフォメーションでどこの付加価値を上げるかは官僚にはできない。だから、民間には付加価値を付けることや法律などのボトルネックはどこにあるのかを明らかにすることをやって頂きたい。東の食の会はG1サミット(※)メンバーが立てた会なので、同じG1メンバーとして国会議員の仕事はしたいと考えています。民間が付加価値の創造や資金繰りができるよう、政策立案の場で提案したい。”

※G1サミット…政治・経済・ビジネス・科学技術・文化など、様々な分野の第一線で活躍する次世代のリーダーが集い、共に学び、交流する「日本版のダボス会議」。

松田 公太氏)「国会を休んでいる場合ではない、今は国会を通年で行うべきだという事を主張しています。地元では復興特区が考えられています。現場で考えていることを実現させるために権限も予算も財源も地方に移譲していきたい。

東の食の会のような団体が発足して、感じているのは、ブランド力をつける事が大切ではないか、ということ。パラダイムシフトの時期にある今、ベンチャースピリットをもって東北に行って欲しい。マイナスを0にするだけでなく、1にすべき。ピンチをチャンスにする時期であります。必ずマイナスをプラスにできるように取り組んでいきたい」

近藤 洋介氏)「民間の人がリスクを取って儲けることができるよう、政治の場で①復興特区法案を成立させ、農地集約、農業法人化などの見直し、②リスクを取る体制づくりのために、検査体制の確立、などを進めていきます。今回の東日本大震災では、東日本の農林水産業は土台が崩れてしまいました。逆にこれは、一から農業をつ
くり、日本の農水産業のさきがけになるチャンスです。この会のネットワークで、現場に合わせて復興特区法をより良い物にしましょう」

藤沢 久美氏)「リスクをとってほしい、リスクを取るための案を挙げてほしいとの話が出ましたが、東の食の会は民間、議員、生産者が集まる“声の交換の場”として、また、大企業・中小企業・NPOなどが出会い、何ができるのかを議論する場にきっとなるだろうと思います。マイナスからプラスへとなるためには、今までに社会になかった仕組みを作る。そしてその付加価値が新しいアイデアになっていくのではないでしょうか。」

~被災地だから美味しくなくても買うのではなく、美味しいものとして買ってほしい~

第三部『復興ヒーローによるパネルディスカッション~被災状況・ニーズと復興への想い~』では、伊勢崎 克彦 氏(風土農園(遠野))、斉藤 和枝 氏(斉吉商店(気仙沼))寺島 英明 氏(相馬(相馬))、針生 信夫 氏(舞台ファーム(仙台))、吉川 信 氏(会津若松市役所(会津若松))をパネリストとして、モデレーターを東の食の会 代表理事 髙島 宏平が執り行ないました。

それぞれが現在置かれている状況や復興に向けての取り組み、さらに、復興にかける想いや被災地で今、何が求められているのかなど、リアルで貴重な意見が語られました。

 

伊勢崎 克彦 氏)「私達は、自然栽培農法(無肥料・無農薬・天日乾燥)で1.5町歩の田んぼにササニシキの親にあたるササシグレを栽培しています。遠野が拠点となって被災した沿岸部支援を行う事を目的に、民間の団体がまとまって“遠野まごころネット”という被災地支援団体を立ち上げました。自然農法で持続的なものをつくることで、付加価値を生み出し、産業をつくることができるのではないかと考えています。

現場は、緊急対応から復興に向けての動きに変わりました。遠野まごころネットでは支援の形として、再生可能な固定種・在来種で持続的に種を巻いていきたいと考えています。今、家族経営の農家を守ってこなかったことで、農業・林業・漁業が疲弊・破綻しています。ぜひ、小さな農家も支援して行って欲しいと思います。」

 

斉藤 和枝 氏)「気仙沼の サンマ加工 斉吉商店を運営しています。気仙沼でとれた食材を利用し、郷土料理をベースにした加工品を無添加で作っていました。

私達がどうしても製造・販売を再開したいのは、『金のサンマ』という商品です。創業からタレを継ぎ足して大切に作っていたのですが、震災の時に社員が波に追いつかれながらもこのタレを持ち出してくれたんです。タレを持って帰ってきた日はちょうど社長の誕生日で、「社長への誕生日プレゼントだ」と渡してくれました。本当にうれしかったし、今、みんなで元気に仕事ができる幸せを感じています。

今は、一日も早く工場の復興を遂げたいです。仮設の工場を作り、段階的な復興を遂げていきたいと考えています。私達と一緒につながってくださる方は気仙沼・東北と繋がって頂きたいですね。何もなくても技術は残っています。100年・200年後に三陸は踏ん張ったと思ってもらえるような仕組みをつくりたいです。」

 

針生 信夫氏)「私は6次化で展開、材料カット、惣菜作成などを行う農業法人舞台ファーム運営しています。施設は宮城県沖地震を想定して作り、今回の震災にも設備が耐えたという状態です。40haの耕作放棄地中6割が水没しましたが、頑張るという意気込みだけでこれまでやってきました。

舞台ファームのある若林地区は雪が6cm降り被害が大きく、目の前に200~300人の遺体が浮かんでいました。舞台ファームでは水・野菜の備蓄ができていたので生活用水の提供・炊き出しを行いました。震災後は東北3県を回って、炊き出し・仲間の農家との語らいを行いました。

今後ですが、震災前の状態に戻すより需要者からの要望にあわせて物をつくる“メイドイン東北”の流れをつくりたい。それにあたり、消費者が扱いやすいかたちを教えて頂くなど、チャンスを作るための要望が欲しいです。”

 

寺島 英明氏)「2011年4月30日まで相馬双葉漁協 総合対策室長をやっておりました。大震災の前は相馬そのもの・相馬ブランドを売り出しておりました。

震災時は相馬まで12時間かけて戻りました。津波で太平洋と浦の境がなくなり、瓦礫すらも残らないような状態になり、自宅は壊れ、33年間連れ添った妻を亡くしました。あまりの被害状況に「神様はいるんですか!?」と感じました。今回の上京に関しても悩みましたが、二日前に踏ん切りをつけて来ました。

今回の地震で、相馬では津波に向かって船を出して200隻中120隻の船を守りました。(船は残ったため、)ハード的には復興はできますが、原発と海で繋がっており、精神的な復興は難しいです。組合から安全を発信しても復活はしません。みなさんには、相馬・岩手・宮城の魚が安心だということを発信して、安心・安全の観点で手伝ってほしいです。

絶対に相馬は元に戻ります。おいしい魚を皆様の食卓に必ず並べ、相馬の魚を絶対に食べてもらいたい。」

 

吉川 信 氏)「会津地域では、お土産・宿泊など業界の裾野が広い観光産業が主要な産業になっていますが大打撃を受けています。例えば、修学旅行に来る学校が530校中、500校キャンセルという状況ですし、有効求人倍率は会津若松では0.42倍(全国0.6)となっており、雇用・失業状況は大変厳しいものになっております。

今の状況ですが、被災者が浜通り・中通りから会津地域に移動しており、農産物等の出荷制限のない会津地域が県全体をけん引しないとならない状態ですが、風評被害のためそれもままならないという状態です。

東の食の会にお願いしたいことは一過性でなく持続的な支援を頂きたいという事です。(消費者の方が)継続してご購入いただくには、被災地だから美味しくなくても買うのではなく、美味しいものとして買っていただく必要があり、そのために本地域もさらに努力し生産活動を行ってまいりますので、そうした開発等に関するご支援なども合わせて賜れればと考えています。”

高島 宏平)「支援といっても生産者・消費者・流通業者・外食産業者、それぞれがWIN-WINになっていかなくてはなりません。継続的・長期的な支援を行っていかなければならないというお話も出ました。元に戻るよりも新しいサプライチェーンを創りだしていくということも重要であります。

“安心”については世界でも初めての難しい解決すべき課題ですが、日本全体として解決していかなくてはならないと思います。もちろん東の食の会としてもこの課題に取り組んでいきたいと思います。」

 

第三部の後には、会場の提供を頂いたグロービス経営大学院学長 堀 義人 氏よりご挨拶がありました。堀学長は望みを届けながら、世界との橋渡しを行うとの意味を込めたProject KIBOWという復興支援の団体を立ち上げました。ご挨拶の中で、その取り組みについて話されました。

「被災地の視察中、瓦礫の中から薪をつくり、復活の薪として日に100袋、西日本に売られています。被災地で言われたのは、“亡くなった仲間に笑われないような生き方をする”ということ。自分のことよりも社会のことを考えよう。多くの人がそのようなマインドを持つ日本は素晴らしい国と思います。このようなマインドがある国であれば、必ず復興する事ができると思います。」

 

第四部『ゲスト・スピーカーによるショート・スピーチ』では、元ソニー代表取締役CEO/最高顧問 出井 伸之 氏、アスリートソサエティ代表理事 為末 大氏、水産庁漁政部長 柄澤 彰氏、経済産業省クールジャパン室長 渡辺 哲也 氏、元IAEA顧問 ジェームズ・スミス 氏からそれぞれご挨拶がありました。

出井 伸之氏)「日本を出て海外でどうするのかという話ばかりがでているが、日本をどうするか、  日本でどう利益をつくるのかという話も必要ではないかと思います。日本は変化しなければならない時期にある。そのために、地方自治体が頑張る必要があり、そのために将来のビジョンと具体的な取り組みが必要です。具体的なプロジェクトを東京と東北の知事さんが力を合わせる事が必要です。復興に向けて具体的な事をひとつずつできるようにする事が大切だと思います。このような会は素晴らしい活動なので盛り上げていってほしい。」

為末 大氏)「体の細胞は3ヶ月で入れ替わり、循環がスムーズだと調子がよい、循環がスムーズでないと調子が悪いんです。東の食の会には循環が滞っている部分を解決して欲しいです。各会の方が枠を乗り越えて、循環が起きるように働きかけてほしい。アスリートは海外にも発信していきたいです。」

 

柄澤 彰氏)「319港、21,000隻で被害があり、被災地の水産は北海道を入れると日本の半分を占める。一つの産業が受けたダメージとしては水産業が第一です。

政治主導の中で毎日全力で活動しているが、行政ができることには一定の限界があります。国費投入だけでは解決しません。この水産業の支援に役に立てなければ、何のための水産庁かと思います。何か支援を頂ける方は水産庁に是非連絡をお願いします。」

渡辺 哲也氏)「私は東の食の会の最初のミーティングに参加させていただいたのですが、僅か数ヶ月で東の食の会設立に至りました。具体的な行動に至ることが大切です。

私の所属する経済産業省のクールジャパン室は日本のよいものを世界に発信するために立ち上げられました。日本の信頼を一日でも早く復帰し、世界に発信していきたいと思います」

 

ジェームス スミス 氏)「私は米国疾病予防管理センター(CDC)の放射線研究主任、IAEAの顧問、ホワイトハウス科学・技術政策部の放射能委員、G7のグローバル健康安全行動グループ委員等を経験してきました。「東の食の会」は日本国民にとって非常に重要な取り組みです。この団体のアドバイザー就任への要請を光栄に思っており、会のみなさんと共に活動していくのを楽しみにしています。」

~「つくる日本をつくる。もう一度。東から。」~

最後に第五部『東の食の会概要紹介』では、東の食の会 代表理事 楠本 修二郎、事務局代表(東京本部)高橋 大就によって、団体の概要が説明され、5年間で500事業、累計200億円のインパクトを目指すとの説明がありました。

 

楠本 修二郎)「この会は一つのサークルであり、3・11以降、膝を突き合わせて東の食に対することを考えてきました。様々な名称の候補がありましたが、最終的にはシンプルな名前『東の食の会』に決まりました。

貨幣価値だけでなく、同じ想いで同じ方向を向いて、新しい価値が生まれていく流れをつくっていきたいと思います。

やりたいことは三つです。

  1. マッチングプラットフォームです。デザイン・コミュニケーション・金融などの専門家が生産を補助します。一つのチームになれば、インキュベーション(新しい事業創造)になります。
  2. 安心・安全も大事です。専門家の知恵をお借りしながら、皆さんと安心安全の基準をつくっていきたいと思います。
  3. ブランディングやコミュニケーション戦略です。

現地で復興のストーリーを持つヒーローを同時多発的に発信していくと同時にオールジャパンのプラットフォームを作り、海外への発信も行います。アンゼンもカイゼン同様に海外に発信力を持たせていく。CSR(Corporate Social Responsibility)からCSV(Creating Shared Value)へということで、エコノミーだけでなく、生活文化全般を見据えた広い視野で東北の経済を考えていきます。また、11.30には東の食の大収穫祭を行う予定で、これを当面のマイルストーンとして活動を行っていきます。

この会の目標は「つくる日本をつくる。もう一度、東から。」です。震災によって10%日本経済がダウンしたなら、国民全体が110%頑張れば復興すると思います。そして、今やるべき事を果たすことが企業としても次の世代のクリエイティブバリューとなっていくと思います。」

高橋 大就)「会の主な活動は以下の5つです:(1)マッチング;(2)販促・イベント;(3)食の安全・安心;(4)政策提言;(5)資金的支援(当面は外部団体への誘導。

特に①マッチングに関して説明をさせていただきます。当会の特徴は地域本部があることで、県代表が目利き役となって、生産者をデータベースに登録します。そして、会員となった食関連企業に対して、東の食の会がそのデータベースへのアクセスを提供し、会員企業は生産者の情報へアクセスして事業を形成していきます。

このように自発的に起こるマッチングに加えて、東の食の会は商品開発・ブランディング、プロデュースの活動を行っていきます。

現在進行中のマッチング事例としては、①気仙沼のサンマ加工品です。今秋のサンマ漁に合わせて斉吉商店さんのサンマの販売を開始したいと思います。また、②福島の夏メニューでグリーンファーム株式会社さんとジャックポットさんで事業を進めます。また、③ササニシキ復権を目指して、今秋、舞台ファームさんをはじめとして、他の生産者にも参加していただき、ササニシキのプロモーション販売を行う予定です。

経済効果としては5年間で500事業、累計200億円のインパクトを目指します。また、経済的効果だけでなく、東北地方の活気・活力の回復、新たな共有価値の形成(CSV)、食の安全・安心の回復、日本食文化の再興といった社会的効果も追求していきます。」

 

<参加者の声>

福島県に工場が有り、原発圏内に東日本のメイン工場が有ります。現在、他の工場にて製造を行い、ほぼ改善致しました。5月より東北地方にて、器具の検査など無料で行っています。設計協力や器具に関する協力を行いたいと考えています。(メーカー)

卸小売としてどのように関わっていけるのか検討したいと思います。(卸小売)

参加させていただき、感謝しております。今後、スピード感をもった取り組みをスタートさせたいと思い、多々ご質問やご手配をお願いすると思いますが、どうぞよろしくお願い致します。(小売流通)

私は今回岩手県で津波にのみ込まれた水産加工食品会社の者です。必ず復興しますので、よろしくお願い致します。(水産加工)

 

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